誰にも気づかれずに歯並びをきれいにしたい——そんな願いを叶えるのが、裏側矯正(舌側矯正)です。
しかし、インターネットで調べてみると「おすすめしない」「やめたほうがいい」というネガティブな意見も多く、一歩踏み出せずにいませんか?
本当に自分に合っているのかな、始めてから後悔しないかな、と考えるのは当然のことです。メリットだけでなく、デメリットやリスクについてもしっかりと知っておきたいですよね。
この記事では、歯科専門家の視点から、裏側矯正がおすすめしないと言われる具体的な理由を解説します。
- 裏側矯正をおすすめしないと言われる理由
- 裏側矯正のメリット・デメリット
- 裏側矯正が向いているかを判断するポイント
裏側矯正はおすすめしないと言われる理由【7つのデメリット】
裏側矯正(舌側矯正)が「おすすめしない」「やめたほうがいい」と言われるのは、裏側矯正のデメリットに起因します。
治療を始めてから後悔しないために、裏側矯正の7つのデメリットを理解しておきましょう。
1. 費用が高額になりやすい
裏側矯正の最大のデメリットは、他の矯正方法に比べて費用が高額になることです。
一般的な表側矯正と比較して、1.2倍〜1.5倍程度の費用がかかることが多く、総額で100万円を超えることも珍しくありません。
高額になる主な理由は、装置が完全なオーダーメイドであることと、治療に高度な技術が必要とされるためです。
一人ひとりの歯の裏側の複雑な形に合わせて装置を製作し、視野が狭く作業しにくい口の中で精密な調整を行うため、材料費と技術料が高く設定されています。
2. 舌が当たって痛い・口内炎ができやすい
装置が歯の裏側にあるため、常に舌がブラケットやワイヤーに触れることになります。
特に治療開始直後は、慣れない装置が舌に擦れて傷つき、痛みを伴う口内炎ができてしまうことが多くあります。
この舌の痛みが、裏側矯正で最もつらい点として挙げられることの一つです。
3. 滑舌が悪くなる・発音しにくい
装置が舌の動きを邪魔するため、特にサ行、タ行、ラ行などが発音しにくくなり、滑舌が悪くなります。
舌足らずな話し方になったり、会話中に装置が舌に引っかかったりするため、電話応対やプレゼンなど、話すことを職業にしている人にとっては大きなストレスになる可能性があります。
多くの場合、数週間〜数ヶ月で慣れてきますが、裏側矯正中は完全に元通りになるとは限りません。
4. 食事や歯磨きが大変
歯の裏側に複雑な装置が付いているため、食べ物が非常に詰まりやすく、歯磨きがしにくいというデメリットがあります。
装置が直接見えないためどこに汚れが溜まっているか確認しにくく、磨き残しが多くなりがちです。
丁寧な歯磨きを怠ると、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまいます。専用の歯ブラシやフロスを使い、時間をかけてケアすることが必要です。
5. 対応できる歯科医院が限られる
裏側矯正は、表側矯正とは異なる専門的な知識と高度な技術を必要とします。そのため、全ての矯正歯科医院で裏側矯正が受けられるわけではありません。
経験豊富な歯科医師を見つけることが、治療の成功を左右する重要なポイントになりますが、それが難しい場合があります。
特に地方では、対応できる医院が少ないのが現状です。
6. 表側矯正より治療期間が長くなる傾向がある
裏側矯正では一般的に、歯を動かす力が伝わりにくいため、表側矯正に比べて治療期間が数ヶ月程度長くなる傾向があると言われています。
ただし最近では技術や装置の進歩により、治療期間に大きな差はなくなってきました。それでも、少しでも早く治療を終えたいと考えている方にとっては、デメリットと感じられるかもしれません。
7. 慣れるまで違和感が強い
口の内側に常に装置があるため、強い異物感を感じます。
特に舌の置き場に困り、常に違和感とストレスを感じる方も少なくありません。
この違和感に慣れるまでの期間には個人差が大きく、人によっては違和感が原因で治療継続を断念することもあります。
それでも裏側矯正が選ばれる理由【3つのメリット】
多くのデメリットがあるにもかかわらず、なぜ裏側矯正を選ぶ人がいるのでしょうか。
それは、他の矯正方法では得られない、デメリットを上回るほどの大きなメリットがあるからです。
特に「見た目」に関するメリットは見逃せません。裏側矯正の3つのメリットを詳しく解説します。
1. 矯正装置が外から全く見えない
裏側矯正の最大のメリットは、何と言っても「審美性」の高さです。装置が歯の裏側にあるため、普通に会話したり笑ったりしても、矯正していることを周りの人に全く気づかれません。
「矯正中の見た目が気になって治療に踏み切れなかった」という人にとって、これは何物にも代えがたい利点です。
結婚式などの大きなイベントを控えている人や、接客業、モデル、アナウンサーなど人前に出る仕事をしている人に特に選ばれています。
2. 前歯が引っ込みやすい
裏側矯正は、構造上、前歯を奥に引っ込める動きが得意だと言われています。
奥歯を固定源にして前歯をしっかりと引き込むことができるため、出っ歯などで悩んでいる方には、効率的な治療結果が期待できます。
ただし、口腔内の状況や使用する補助装置により差異があり、個人差により治療が長引く可能性があります。
3. 虫歯のリスクが比較的低い
意外に思われるかもしれませんが、裏側矯正は表側矯正に比べて虫歯のリスクが低いというメリットがあります。
歯の裏側は、常に唾液が循環しており、唾液の持つ殺菌作用や再石灰化作用によって、虫歯菌が繁殖しにくい環境だからです。
ただし、歯磨きがしにくいことに変わりはないため、油断は禁物です。
裏側矯正がおすすめな人・おすすめでない人
これまで見てきたメリットとデメリットを踏まえ、自分が裏側矯正に向いているのか、それとも他の方法を選ぶべきなのかを判断するヒントをまとめました。
最終的な判断は、自分の価値観やライフスタイルと照らし合わせて行うことが重要です。
裏側矯正以外の選択肢(マウスピース矯正・表側矯正)
「裏側矯正は自分には合わないかも…」と感じた方も、矯正自体を諦める必要はありません。目立たない矯正方法は他にもあります。
- マウスピース矯正(インビザライン):
透明なマウスピースを交換していく方法。取り外しが可能で衛生的ですが、自己管理能力が求められる。 - 表側矯正(クリアブラケット、ホワイトワイヤー):
歯の表側に装置を付ける矯正方法。ブラケットやワイヤーを白や透明のものにすることで、見た目を目立ちにくくすることも。
それぞれのメリットとデメリットを比較し、自分のライフスタイルや優先順位に最も合った方法を選べば後悔しないはずです。
ほかの歯列矯正について詳しく知りたい人は、以下の関連記事も参考にしてください。
▶関連記事:ワイヤー矯正の値段はいくら?種類別・装置別の費用相場と内訳を徹底解説
▶関連記事:【歯科医監修】マウスピースによる歯列矯正の効果は?適用症例や費用、注意点を徹底解説
裏側矯正で後悔しないために|信頼できる歯科医院の選び方
裏側矯正は、歯科医師の技術力によって治療結果が大きく左右される、非常に専門性の高い治療です。
後悔しないためには、価格の安さだけで選ばず、信頼できる専門家を見つけることが最も重要です。
ここでは、信頼できる矯正歯科医院を選ぶ際にチェックしておきたいポイントを紹介します。
裏側矯正の経験・症例数が豊富か
多くの症例を手がけている医師は、様々な歯並びのケースに対応できる技術と経験を持っています。
歯科医院のウェブサイトで、裏側矯正の治療実績(ビフォーアフターの写真)を必ず確認しましょう。
日本矯正歯科学会の「認定医」以上の資格を持つ医師か
矯正治療には専門的な知識が必要です。
日本矯正歯科学会が定める「認定医」や「専門医」といった資格は、一定の経験と技術を持つ医師であることの一つの証明になります。
カウンセリングでメリット・デメリットを丁寧に説明してくれるか
希望をじっくりと聞いた上で、メリットだけでなく、費用や期間、痛み、滑舌への影響などのデメリットやリスクについて時間をかけて説明してくれる医師を選んでください。
質問しやすい雰囲気かどうかも、大切なポイントです。
料金体系が明確で、トータルフィー制度か
治療開始から終了までの全ての費用(調整料、保定装置代)が含まれた「トータルフィー制度(総額固定制)」を導入している医院が安心です。
治療が長引いた場合にも追加料金が発生しないため、費用の心配なく治療に専念できます。
裏側矯正に関するよくある質問(Q&A)
裏側矯正を検討する上で、多くの人が抱く疑問にお答えします。
Q1. 痛みや滑舌には、どれくらいで慣れますか?
A1. 個人差が大きいですが、多くの場合、痛みは1週間程度、滑舌は1ヶ月程度でかなり慣れてくると言われています。
最初のうちは、ワックス(装置を覆う粘土状の保護材)を使ったり、痛み止めを服用したりして矯正の痛みを乗り越えている人がほとんどです。
滑舌については、裏側矯正で発音しにくくなっている点に注意して話す練習をすることで、早めに慣れることができます。
Q2. 表側矯正と比べて、費用はどれくらい高くなりますか?
A2. 一般的に、表側矯正の総額にプラスして20万円から50万円程度高くなることが多いです。
医院の料金設定によりますが、表側矯正の1.2倍から1.5倍が目安となります。
カウンセリングの際に、費用の違いについてもしっかりと確認しましょう。
Q3. ハーフリンガル(上の歯だけ裏側)という選択肢はありますか?
A3. はい、あります。費用を抑えつつ、審美性も確保できるため、非常に人気の高い方法です。
笑った時に目立ちやすい上の歯だけを裏側矯正にし、下の歯は表側矯正にする方法を「ハーフリンガル」と言います。
下の歯は唇で隠れやすいため、表側でもそれほど目立ちません。
費用と見た目のバランスを取りたい方には、最適な選択肢の一つです。
まとめ:裏側矯正のデメリットを理解し、自分に合うか見極めよう
この記事では、裏側矯正が「おすすめしない」と言われる理由から、メリット、そして後悔しないための選び方までを詳しく解説しました。
結論として、裏側矯正は誰にとっても最良の選択肢というわけではありません。裏側矯正のデメリットを許容できるかどうかが、満足度を大きく左右します。
裏側矯正は費用が高く、痛みや滑舌への影響などの問題もあります。しかし、「誰にも気づかれずに歯並びをきれいにできる」というメリットがデメリットを上回ると考える人もいるでしょう。
ネガティブな情報に惑わされず、自分の価値観やライフスタイルに合わせて選んでください。
「歯科予約まもる」で信頼できる医院を見つけよう
どの治療法を選ぶにしても、信頼できる矯正歯科医に相談し、専門的な視点から現在の状態を診断してもらうことが不可欠です。
人それぞれの悩みや希望に寄り添い、最適な治療法を一緒に考えてくれる歯科医院探しをサポートするのが「歯科まもる予約」です。全国の歯科クリニックからあなたにピッタリの歯科が見つかります。
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