ホワイトニングはなぜ痛い?原因と予防法や痛くなった時の対処法を歯科医が解説

ホワイトニング 痛い

白く輝く歯に憧れてホワイトニングをしたい。でも、インターネットで調べると「歯がキーンとしみた「痛くて眠れなかった」などの口コミを見て、一歩踏み出せずにいませんか?

「歯を白くきれいにしたいけど、痛いのは怖い……」と思うのも当然です。

結論から言うと、ホワイトニングでしみたり痛みを感じたりすることは珍しくないのが現実です。

しかし、多くは一過性の痛みであり、痛む原因や予防法、痛くなった時の対処法を知っておけば過度に怖がる必要はありません。

この記事では歯科専門家の視点から、ホワイトニングで痛いと感じるメカニズムから、痛みを最小限に抑える予防策痛くなった時の正しい対処法を解説します。。

ホワイトニング前の不安を解消するのに役立ててください。


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目次

ホワイトニングの痛みは薬剤による一時的な知覚過敏

ホワイトニングで感じる「キーン」「ズキッ」とした痛みの正体。 そのほとんどが薬剤による一時的な知覚過敏です。

知覚過敏は、歯の神経が過敏に反応している状態であり、歯の状態が悪くなっているわけではありません。 歯を白くする薬剤の性質上、どうしても起こりうる反応です。

ここでは、ホワイトニングで感じる痛みのメカニズムについて解説します。

ホワイトニングの薬剤(過酸化水素)が歯の神経を刺激する仕組み

ホワイトニングの薬剤(主に過酸化水素や過酸化尿素)は、歯の表面のエナメル質を通り抜け、内部の象牙質にまで浸透して着色物質を分解します。

薬剤は象牙質の中にある「象牙細管」(ぞうげさいかん)と呼ばれる無数の細い管を通じて、歯の内部にある神経(歯髄)にまで届きます。歯髄に達する刺激が一時的に痛みとして感じられるのです。

この痛みは異常なものではなく、歯を白くするプロセスにおいては避けられません。


痛みの多くは施術後24時間以内で治まる

ホワイトニング時の痛みはほとんどの場合一過性のもので、個人差はありますが、痛みのピークは施術中から施術後数時間です。

長くても、施術後24時間以内には自然に治まるケースが大半です。

施術から2日以上経っても痛みが続く場合、虫歯などホワイトニングとは別の原因の可能性があるため、歯科医院に相談しましょう。

痛みの感じ方には個人差が大きい

同じ施術を受けても、全く痛みを感じない人もいれば強く痛みを感じる人もいます。

歯の表面にあるエナメル質の厚さや歯の健康状態、痛みへの敏感さといった個人差が非常に大きいためです。

どのような人が痛みを感じやすいかは次の章で解説します。

ホワイトニングで痛くなりやすいタイプ?セルフチェックリスト

ホワイトニングの痛みは、口の中の状態によって異なります。歯の健康状態が万全でなければ、痛みを感じる可能性が比較的高くなります。

以下のセルフチェック項目に該当する場合、痛みを感じやすいかもしれません。各項目を確認してみましょう。

以下に当てはまる人はホワイトニングが痛いと感じるかも
  • もともと知覚過敏の症状がある
  • 虫歯や歯の詰め物(CR)の隙間がある
  • 歯周病で歯茎が下がっている
  • 歯にヒビ(マイクロクラック)が入っている
  • もともと知覚過敏の症状がある

    冷たい水や歯ブラシの毛先の刺激がしみる症状が普段からある人は注意が必要です。歯の神経がすでに敏感な状態にあるサインです。

    ホワイトニングの薬剤は神経をさらに刺激するため、一時的ではありますが「キーン」とした痛みを強く感じる可能性があります。

    虫歯や歯の詰め物(CR)の隙間がある

    気づいていない小さな虫歯や、過去に治療したプラスチックの詰め物(CR)と歯の間にできたわずかな隙間は、ホワイトニング時の強い痛みの原因になります。

    虫歯や詰め物の隙間から薬剤が歯の内部に直接浸透し、神経(歯髄)を強く刺激してしまうためです。

    健康な歯であればエナメル質がバリアとなりますが、虫歯や隙間は薬剤が浸透する近道となってしまいます。

    強い痛みの原因にもなってしまうことから、虫歯の治療をすべて終えてからホワイトニングを行うのが大原則です。

    歯周病などで歯茎が下がっている

    歯茎が下がると、本来歯茎に覆われているはずの歯の根元部分が露出します。

    露出した根元(象牙質)は非常にデリケートで、薬剤の刺激が神経に伝わりやすいため、歯茎が下がっている部分は強い痛みを感じます。

    歯茎が下がる原因として代表的なものには下記があります。

    • 歯周病の進行
    • 強すぎる歯磨き
    • 加齢

    歯にヒビ(マイクロクラック)が入っている

    歯ぎしりや食いしばりの癖がある人は、歯の表面に目には見えない細かなヒビ(マイクロクラック)が入っていることがあります。

    マイクロクラックは、ホワイトニングの薬剤が歯の内部に浸透する近道となってしまうため、神経を刺激して痛みを引き起こすことがあります。

    歯のエナメル質が健康であっても、ヒビによって痛みを感じる場合があると言えます。

    痛いのが怖い人向け:ホワイトニングの痛みを予防する4つの方法

    「自分はホワイトニングで痛みを感じやすいかも」と不安な人も、事前に対策を行えば痛みのリスクを減らせます。

    ホワイトニングの痛みは、いくつかの簡単な予防策でコントロールできるのです。

    ここでは、ホワイトニングの痛みに備えてできることを解説します。

    事前に知覚過敏用の歯磨き粉を使う

    ホワイトニングの施術予定が決まったら、施術日の1週間から2週間前から、知覚過敏抑制成分(リン酸カルシウム)が配合された歯磨き粉を使ってみましょう。

    知覚過敏抑制成分が歯の神経の周りにバリアを作り、神経の興奮を鎮めて薬剤の刺激を感じにくくさせる効果を期待できます。

    痛みが心配な方が、ご自宅で簡単にできる最も手軽な予防法です。

    虫歯や歯周病の治療を先に終わらせる

    虫歯や歯周病などの治療が必要な症状がある人は、ホワイトニングの前に全ての治療を完了させ、口の中を健康な状態にしておきましょう。

    ホワイトニングにおいて、健康な状態の歯に施術を行うのが大前提です。 虫歯の穴や詰め物と歯の間の隙間、歯周病で露出した歯の根元などは、薬剤が神経に直接届いてしまい、強い痛みの原因になります。

    ホワイトニングでの痛みを予防するために、最も確実かつ重要な方法です。

    薬剤の濃度が低いホワイトニング方法を選ぶ

    ホワイトニングで使用する薬剤の濃度が高いほど効果も高いですが、その分、歯への刺激も強くなる傾向があります。

    歯の痛みが不安な場合、効果の早さより刺激の少なさを優先して、低濃度の薬剤を使うホワイトニング方法を選んでも良いでしょう。

    例えば、歯科医師の管理のもと自宅でゆっくり行うホームホワイトニングでは、オフィスホワイトニングよりも低濃度の薬剤を使用するため、痛みが出にくい特徴があります。

    オフィスホワイトニングを希望する場合でも、クリニックによっては低濃度の薬剤を扱っている場合があります。

    痛みが不安な場合は、低濃度の薬剤での施術ができないかクリニックに相談してみましょう。

    施術前に歯茎やヒビをしっかり保護してもらう

    歯茎が下がっている部分や、詰め物があってしみる位置などを自分で把握している場合、事前に歯科医師や歯科衛生士に伝えましょう。

    オフィスホワイトニングでは、薬剤を塗布する前に歯茎を保護剤でガードします。

    「知覚過敏が出やすいので、根元や怪しい部分もしっかり保護してください」と一言添えるだけで、気になる部分をより丁寧に保護してもらえます。

    事前にコミュニケーションをとることで、施術中の痛みを最小限に抑えられます。

    施術中や施術後に歯が痛くなったらすぐできる対処法

    予防策を講じていても、その日の体調や歯の状態によって痛みが出てしまうことはあります。歯が痛くなった場合に備えて、正しい対処法を知っておきましょう。

    ここでは、痛みが出た際にすぐできる3つの対処法を解説します。

    施術中に痛みを感じたらすぐに歯科医師に伝える

    オフィスホワイトニングの施術中に「キーン」とした痛みを感じたら、我慢せずすぐに手を挙げてスタッフに伝えましょう。

    痛みを我慢するのは歯に悪影響であり、スタッフにすぐ対応してもらえば不快な時間も中断できます。

    歯科医師や歯科衛生士は、患者さんの反応を注意深く見ています。

    痛みの合図があればすぐに中断し、薬剤の除去や、光の照射時間の短縮・中止などの対応を取ってくれます。

    施術後は鎮痛剤(痛み止め)を服用する

    施術後にじわじわと痛みが出てきた場合、市販の鎮痛剤(痛み止め)を服用すると効果的です。

    イブプロフェンやロキソプロフェンなどの鎮痛剤の多くは、ホワイトニングでの一過性の炎症反応を抑える作用も持っているためです。

    施術前にホワイトニング後の痛みが心配だと伝えておくと、クリニックで鎮痛剤を処方してくれる場合もあります。服用の際は、必ず用法・用量を守ってください。

    刺激物(冷たいもの・熱いもの・酸っぱいもの)を避ける

    痛みが治まるまでの24時間から48時間は、以下のような刺激的な飲食物をできるだけ避けるようにしましょう。

    • 冷たい飲み物や食べ物
    • 熱い飲み物や食べ物
    • レモンや柑橘類
    • 酢の物
    • 炭酸飲料

    施術後の歯は、薬剤の影響で非常に敏感になっています。歯が過敏な状態で刺激物を口にすると、神経が過剰反応し、強い痛みを誘発する引き金になります。

    ホワイトニング後に飲み物を飲む場合は、透明な常温の水や白湯がおすすめです。

    ホワイトニングの種類別|痛みの出やすさを比較

    ホワイトニングにはいくつかの種類があり、効果の高さと痛みの出やすさがそれぞれ異なります。

    ホワイトニングで使用する薬剤の濃度や種類が痛みの発生に関係しているため、痛みが不安な人は痛みの少ない種類を選ぶことをおすすめします。

    ここでは、代表的なホワイトニングの種類を3つ、痛みの観点から比較解説します。

    オフィスホワイトニング:高濃度・短時間

    オフィスホワイトニングは歯科医院で施術を行うホワイトニングです。

    高濃度の薬剤(過酸化水素)を使用し、特殊な光を当てて歯を白くします。

    オフィスホワイトニングの最大のメリットは、1回から数回の通院で済む短期間で高い効果を実感しやすいことです。

    一方、高濃度の薬剤が歯の神経を刺激しやすいため、3つの方法の中では最も痛みを感じやすいと言えます。

    効果を実感するまでの速さを最優先したい方に向いています。

    ホームホワイトニング:低濃度・長期間

    ホームホワイトニングは、歯科医院で作成した専用のマウスピースを自宅で装着し、低濃度の薬剤(過酸化尿素)でホワイトニングを行う方法です。

    毎日数時間、2週間から1ヶ月ほどかけて、ゆっくりと歯を白くしていきます。

    薬剤の濃度が低いため、オフィスホワイトニングに比べて痛みが出にくいのが特徴です。痛みが出ても、自分で装着を中断したり、1日おきにしたり調整できるのもメリットと言えます。

    痛みが不安な人や、自分のペースでじっくり歯を白くしていきたい人に向いています。


    セルフホワイトニング:他のホワイトニングと薬剤が異なる

    セルフホワイトニングは、エステサロンや専門店に行って自分で行うホワイトニングです。

    セルフホワイトニングでは、歯科医院が扱う過酸化水素や過酸化尿素などの漂白成分は使用しません。 主な成分は、ポリリン酸ナトリウムや酸化チタンで、歯の表面の着色汚れを浮かせて落とします。

    歯の内部を漂白するわけではないため神経を刺激せず、痛みを感じることは基本的にありません。

    ただし、本来の歯の色以上に歯が白くなることは期待できないため、オフィスホワイトニングやセルフホワイトニングとは区別して考えるべきでしょう。

    ホワイトニングの痛みに関するよくある質問(Q&A)

    ホワイトニングの痛みについて、多くの人が抱く疑問にお答えします。

    Q1. 痛み止めはいつ飲むのが効果的ですか?

    A1. 施術の約1時間前に服用しておくのが最も効果的です。

    施術の前に痛み止めを飲んでおけば、痛みの原因物質が作られるのを事前にブロックする効果が期待できます。また、痛みが出てから服用するよりも予防的に服用する方が痛みを抑えやすいと言われています。

    もちろん、施術後に痛みが出てから服用しても効果はあるため安心してください。

    痛みが心配な人は、事前に歯科医師に相談して鎮痛剤を処方してもらうか、市販薬(イブプロフェンやロキソプロフェン)を準備しておきましょう。

    Q2. 痛みを我慢すると、歯に悪い影響がありますか?

    A2. ホワイトニングによる一時的な痛みであっても、我慢すると歯が溶ける・神経が死ぬなどの悪い影響が稀に認められます。

    マイクロクラックや深い虫歯がある場合に神経が炎症を起こし、根の治療が必要になる可能性が稀にあります。

    また、痛みを我慢することは大きな精神的ストレスになるため、無理をしないことが大切です。施術中であれば中断してもらう、施術後であれば鎮痛剤を服用するなど対応しましょう。

    ただし、多くの痛みは歯の神経が薬剤に一時的に反応しているだけで、歯の組織が破壊されているわけではありません。このような痛みは通常、24時間以内に軽減されます。

    Q3. 痛みが出ないホワイトニングはありますか?

    A3. 痛みの感じ方には個人差があるため断言はできませんが、痛みが出にくいとされるホワイトニング方法はあります。

    痛みの主な原因は薬剤の濃度にあるため、濃度の低いホワイトニング方法を選択することで、痛みを抑えることができるのです。

    例えば、歯科医院で行うオフィスホワイトニングは高濃度の薬剤を使うため、痛みが出やすい傾向があります。

    一方、自宅でゆっくり行うホームホワイトニングでは、オフィスホワイトニングに比べて低濃度の薬剤を使用するため、刺激が少なく痛みが出にくいのが特徴です。

    また、エステサロンで行うセルフホワイトニングは、漂白ではなく表面の汚れを落とすだけの施術であるため、原則として痛みがありません。

    ただし、セルフホワイトニングでは歯本来の色以上に白くする効果は期待できないことを認識しておきましょう。

    まとめ:痛みは予防・対処が可能。不安は専門家と共有しよう

    この記事では、ホワイトニングで歯が痛いと感じる原因や、具体的な予防法、対処法について解説しました。

    結論として、ホワイトニングの痛みを過度に怖がる必要はありません。その痛みの多くは一時的なもので、正しい知識を持って臨めば予防や対処が十分に可能だからです。

    この記事でわかること
    • 痛みの正体は、薬剤による一時的な知覚過敏
    • 痛みのピークは施術後24時間以内で、自然に治まるケースがほとんど
    • 虫歯や歯周病があると痛みが出やすいため、事前に治療を終えることが最大の痛み予防
    • 事前に知覚過敏用の歯磨き粉を使うことで、痛みを予防できる可能性がある
    • 痛くなった場合、鎮痛剤の服用や刺激物を避けることで対処できる
    • 痛みが不安な人には、低濃度で行うホームホワイトニングがおすすめ

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    施術前に担当の歯科医師や歯科衛生士に不安を伝えることはとても重要です。

    不安に思っていることを伝えれば、薬剤の濃度を調整したり歯茎や歯の根元をより丁寧に保護したり、痛みを最小限にするための配慮をしてくれます。

    ホワイトニングは医師の管理下で安全に行う医療行為です。 一人で不安を抱えず、信頼できる専門家と一緒に、痛みをコントロールしながら理想の白い歯を目指しましょう。

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