【歯科医が警告】自分で歯石を取る方法はない!絶対NGな理由と歯石予防法

自分で歯石を取る簡単な方法

歯の表面や裏側に付いた、白や黄色のザラザラとした塊、歯石。 口臭の原因にもなるし見た目も悪いから、なんとか自分で取れないかな、と簡単な方法を探していませんか?

インターネット上では、セルフで歯石を取るための器具(スケーラー)が販売されており、自分で簡単に取れたという情報も見かけます。

しかし、歯科医師の見解では、自分で歯石を取ることは推奨できません。絶対にやめてください。

この記事では、自分で歯石を取るのがなぜ危険なのか、明確な理由を解説します。

この記事でわかること
  • 歯石を自分で取ってはいけない理由
  • 歯石の正体
  • 歯石を作らない予防法・セルフケア
  • 歯科医院での歯石治療

▶関連記事:歯石の取り方|自宅ケアと歯科医院での除去方法・予防策を徹底解説

自分で歯石を取るのは危険!絶対にやめて

自分で歯石を簡単に取りたいと思う気持ちはよくわかります。しかし、自分で歯石を取ることは危険なので絶対にやめてください。

自分で歯石を取る簡単な方法はありません。さらに、無理な処置によって口の中の健康を深刻に損ねる可能性があります。

インターネットで販売されている器具を使って「取れた」という満足感を得ても、代償は思いの外大きいかもしれません。

本章では、自分で歯石を取るのが危険だと言われる明確な理由を解説します。

歯や歯茎を傷つける3つのリスク

自分で歯石を取ろうとするリスクは、主に3つ挙げられます。

以下の悪影響は、元に戻すのが困難なトラブルにつながる可能性があります。

1. 歯の表面(エナメル質)を傷つける

歯石は歯垢とは違い、歯に強力に固着した「石」のような存在です。

歯石を無理に剥がそうとすると、歯の表面を覆う硬いエナメル質まで一緒に削ってしまいます

エナメル質に付いた無数の傷は、かえって汚れや着色が付きやすい状態を作り出し、知覚過敏の原因にもなります。

2. 歯茎を傷つけ、歯周病を悪化させる

歯石を取ろうとした結果、歯周病が悪化する原因になる場合があります。

歯石は歯茎の溝の中にも形成されます。

そんな見えない場所にある歯石を手探りで無理やり除去しようとすると、デリケートな歯茎を傷つけて出血させたり、歯周ポケットの奥深くに細菌を押し込んでしまったりする危険性があるためです。

3. 完全に除去しきれず歯周病が進行する

歯石が中途半端に残ってしまうと、気づかないうちに歯周病が進行してしまうリスクが高まります。

表面の目立つ歯石が取れたとしても、歯周病の直接的な原因となる歯茎の中の歯石を完全に取り除くことは、専門家でなければ不可能です。

市販のスケーラー(歯石取り器具)を使ってはいけない理由

インターネット通販で、歯科医院で使われているものと似た形の「スケーラー」を安価に購入できてしまいます。 しかし、これらを自分で使ってはいけません。

まず、歯科医師や歯科衛生士が使用するスケーラーは、精密に設計、調整された医療機器です。一方、市販の器具の品質は保証されていません。

また、歯科医師や歯科助手などの専門家は、歯や歯茎の解剖学的な知識を基に、正しい角度と力加減で器具を操作する専門的な訓練を長年積んでいます。

訓練を受けていない素人が見よう見まねで使うと、先端が滑って健康な歯茎に深く突き刺してしまったり、歯を大きく傷つけたりする事故につながる可能性が非常に高いのです。

専門知識のない人がメスを持って手術をするようなものであり、極めて危険な行為です。


歯石取りは歯科医師・歯科衛生士にしか許されない医療行為

日本において歯石除去(スケーリング)は、法律で定められた「医療行為」です。

歯石取りは単なるお掃除ではなく、歯周病の治療であるという専門的な側面を持ちます。

歯石取りを安全に実施するためには専門的な知識と技術が不可欠なため、国家資格を持つ歯科医師と歯科衛生士にしか許可されていないのです。

無資格の人によるケアや、エステサロンなどでの歯石取りサービスは違法行為であり、その人の健康を危険に晒す行為であることを知っておいてください。

歯石の正体とは?歯みがきでは取れない理由

自分で取ることは危険と言われる歯石。その正体とは一体何なのでしょうか。

歯石がどうやってできるのかを知っておくと、予防にも役立ちます。

本章では、歯石の成り立ちや正体について解説します。

歯石の正体は「歯垢(プラーク)」が石灰化したもの

歯石の正体は、歯の表面に付着した「歯垢(プラーク)」が、唾液に含まれるカルシウムやリンといったミネラル成分と結びついて石のように硬くなった(石灰化した)ものです。

歯垢は食後8時間程度で作られ始める細菌の塊で、歯垢の状態であれば歯ブラシで簡単に落とせます。しかし、磨き残された歯垢はわずか1~3日間ほどで歯石へと変化し始めます。

一度歯石になってしまうと、歯ブラシでは取れないほど硬く固着してしまうのです。

歯石が付きやすい場所

歯石は、唾液腺(唾液が出てくるところ)の開口部の近くに特に付きやすいという特徴があります。 具体的には、以下の2箇所です。

歯石が付きやすい場所
  • 下の前歯の裏側
  • 上の奥歯の頬側
  • これらの場所は自分では見えにくく、歯ブラシも届きにくいため、特に意識してケアする必要があります。

    歯石が歯周病を引き起こすメカニズム

    歯石そのものが直接悪さをするわけではありません。

    歯石の表面はザラザラしていて軽石のような構造をしているため、その上にさらに歯垢(細菌)が付着しやすくなり、細菌の温床となるのです。

    歯茎の近くに付着した歯石が細菌を常に溜め込むことで、慢性的な炎症を引き起こします。 これが歯肉炎です。

    さらに放置すると、炎症は歯を支える骨(歯槽骨)にまで及び、骨を溶かしてしまう歯周病へと進行してしまうのです。

    歯石の発生を予防するセルフケア方法

    自分で歯石を取るべきでないという事実を知り、がっかりしたかもしれません。

    しかし、歯石ができるのを予防することは可能です。

    ここでは、取りたくなる歯石をそもそも発生させないために、今日からできるセルフケア方法を紹介します。

    歯石予防の鍵は「歯垢」を徹底的に除去すること

    歯石の元となるのは歯垢です。つまり、歯石に変わる前の歯垢の段階で毎日徹底的に除去すれば、歯石が作られることはありません。

    歯石を予防するためのセルフケアに特別な道具や技術は必要なく、日々の正しい歯みがきを徹底すればよいのです。

    正しい歯磨きの基本

    毎日歯磨きをしていても、正しく磨けておらず汚れが残っている人は非常に多いです。

    以下のポイントを意識して歯磨きし、歯垢の除去率を高めましょう。

    歯磨きのポイント
  • 歯ブラシの当て方:歯と歯茎の境目に、45度の角度で毛先を当て、小刻みに優しく動かす。
  • 力の入れすぎはNG:歯ブラシの毛先が開かない程度の優しい力で磨く。
  • 磨く順番を決める:磨き残しを防ぐため、「右上の奥歯から」といったように順番を決めておくと効果的。
  • デンタルフロスや歯間ブラシも活用する

    実は、歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを約60%しか落とせていないと言われています。

    歯石を最大限に予防するためには、歯ブラシに加えて、デンタルフロス歯間ブラシ併用が不可欠です。

    歯ブラシと併用すべきケア用品
  • デンタルフロス:歯と歯が接している狭い隙間の汚れを除去します。
  • 歯間ブラシ:歯と歯茎の間の、少し広くなった隙間の汚れを除去します。
  • 1日1回、就寝前の歯磨きの際に歯と歯の間のケアをプラスするだけで、歯垢の除去率は90%近くまで向上します。

    おすすめできる歯磨き粉の成分

    歯磨き粉を選ぶ際は、以下の成分が含まれているものを選ぶと、歯石の沈着を抑制する効果が期待できます。

    歯磨き粉に含まれていると良い成分
  • ポリリン酸ナトリウム
  • ゼオライト
  • ピロリン酸ナトリウム
  • ただし、これらの成分の役割はあくまで歯石を付きにくくする補助的なものです。すでに歯石になってしまったら、溶かす効果はありません。

    プロはどう取るの?歯科医院での安全で確実な歯石除去

    自分で取るべきでない歯石は、歯科医院でプロフェッショナルに取り除いてもらいましょう。

    歯石を除去する治療の痛みや費用が心配な方のために、歯科医院での歯石取りについて解説します。

    歯石除去の方法と痛み

    歯科医院での歯石除去(スケーリング)は、主に2種類の器具を使って行われます。

    • 超音波スケーラー:
      超音波の微細な振動で、歯の表面に付着した硬い歯石を効率よく粉砕して除去します。 施術中は、特有の音と水しぶきが出ます。
    • ハンドスケーラー:
      超音波スケーラーでは届かない、歯茎の溝の奥深くにある歯石や、細かい部分の歯石を、歯科衛生士が手用の器具で一つひとつ丁寧に取り除きます。

    歯茎の状態によっては、多少しみたり、チクチクとした痛みを感じたりすることもあります。

    痛みが強い場合は麻酔を使用することも可能なので、我慢せず歯科医師や歯科衛生士に伝えましょう。

    歯石除去にかかる費用と時間

    歯石除去は、歯周病治療の一環として扱われるため、健康保険が適用されます。

    初診でレントゲン撮影を含めて、3割負担の場合で3,000円から4,000円程度が目安です。

    口の中の状態によりますが、所要時間は30分から60分程度です。 歯石が多く付着している場合、複数回に分けて除去する場合もあります。

    定期的な歯科検診のすすめ

    歯石を一度きれいに取り除いても、日々の歯磨きで磨き残した歯垢があれば、また必ず付着してしまいます。

    口の中を健康かつ清潔に維持するためには、3ヶ月から半年に1回程度の頻度で歯科医院に通院し、定期的にクリーニングを受けることが強く推奨されます。

    自分で歯石を取ることに関するよくある質問(Q&A)

    自分で歯石を取ることについて、よくある疑問にお答えします。

    Q1. 爪や硬いものでカリカリ削るのはダメですか?

    A1. 歯石を自分で削るのは絶対にやめてください。

    市販のスケーラーとを使うときと同様、歯の表面を傷つけ、そこから虫歯になったり、知覚過敏を引き起こしたりする原因になります。

    また、歯茎を傷つけて炎症を悪化させるリスクも非常に高いです。

    Q2. 歯石取り用の歯磨き粉だけで歯石は取れますか?

    A2. いいえ、歯磨き粉だけで歯石は取れません。

    歯石の沈着を「予防する」効果が期待できる歯磨き粉はありますが、一度付いてしまった硬い歯石を溶かすなどして「取る」効果のある歯磨き粉はありません。

    Q3. 一度取ってもまた歯石は付きますか?

    A3. はい、歯石は繰り返し付きます。

    歯石の原因は日々の磨き残した歯垢です。 毎日の歯磨きを完璧に行うのは難しいため、少しずつ歯垢が残り、時間と共に歯石に変わっていきます。

    だからこそ、セルフケアとプロのケアを両立させることが重要なのです。

    まとめ:歯石対策は毎日のケアとプロのクリーニングで

    この記事では、自分で歯石を取る危険性と、効果的な歯石対策について解説しました。

    本記事のポイント
  • 自分で歯石を取ることは、歯と歯茎を傷つける危険な行為であり、絶対にNG。
  • 歯石の正体は、歯ブラシでは取れないほど硬くなった「歯垢の石灰化物」。
  • 歯石を「取る」のではなく、歯垢の段階で除去して「予防する」ことが重要。
  • 付いてしまった歯石は、3ヶ月から半年に1回、歯科医院のプロフェッショナルクリーニングで安全に取ってもらう。
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    正しいセルフケアと、信頼できる専門家による定期的なメンテナンス。 二つが揃って初めて歯石の悩みから解放され、将来にわたってお口の健康を守ることができます。

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