赤ちゃんが舌を出す理由は?病気のサインや歯並びへの影響を解説

赤ちゃん 舌を出す

「うちの子、いつも舌をペロッと出しているけど大丈夫?」
「頻繁に舌を出すのは、何かの病気のサイン?」

赤ちゃんが舌を出す癖を見て、異常はないかと不安になっていませんか。

赤ちゃんが愛らしく舌を出す行動には、成長段階に応じたさまざまな理由があります。

舌を出す行動の多くは、機嫌が良いアピールや離乳食前の準備行動などの生理的なものですが、鼻詰まり歯並びへの悪影響につながる場合もゼロではありません。

この記事では、舌を出す月齢ごとの理由から、心配のないケースと受診すべきケースの違い、将来の歯並びを守るための対処法まで、歯科医師が詳しく解説します。

鈴木先生

歯科医師:鈴木 遼介
赤ちゃんが舌を出すのは自然な発達の一部ですが、1歳を過ぎても常に舌が前に出ている場合は注意が必要です。舌を前に押し出す癖(舌突出癖)が続くと、歯並びや顎の成長に影響し、開咬や出っ歯などの不正咬合を引き起こすことがあります。

こうした癖は、0期(乳歯列期)や1期(混合歯列期)と呼ばれる成長初期に、筋機能訓練(MFT)や早期矯正によって改善が可能です。特に、上顎の成長ピークは7〜9歳、下顎は10〜12歳に訪れるため、この時期までに舌・唇・頬などの筋肉を正しく使う力を育て、口腔機能の土台を整えることが大切です。

また、正しい舌の位置と鼻呼吸を身につけることで、顎の自然な発育を促し、将来的な矯正治療の期間や費用の軽減にもつながります。

口の機能を整えることは、顔立ちのバランスや、しっかりと食べて栄養を吸収できる健康的な成長にも関係します。気になる癖がある場合は、早めに小児歯科で相談してみましょう。

この記事でわかること
  • 舌を出す月齢ごとの理由
  • 心配のないケースと受診すべきケースの違い
  • 将来の歯並びを守るための対処法

赤ちゃんが舌を出すのは成長の証

赤ちゃんが頻繁に舌を出していると、何かの病気ではないか・どこか苦しいのではないかと不安になる人は多いです。

結論を言えば、赤ちゃんが舌を出す行動の9割以上は、成長過程で見られる生理的な現象や遊びの一環であり、医学的に心配のないものです。

赤ちゃんにとって、口は世界を確認するための最初のセンサー。手足よりも先に口の感覚が発達するため、舌を動かすことで体の使い方を学んだり、外の世界を確かめたりします。

赤ちゃんにとって、舌を出すのは重要な学習プロセスなのです。

機嫌が良く、ミルクもよく飲んで体重が増えているのであれば、基本的には順調に成長している証拠だと捉えて問題ありません。

【月齢別】舌を出す理由

舌を出す理由は、赤ちゃんの月齢や発達段階によって少しずつ変化していきます。

月齢別の理由を以下にまとめます。

月齢舌を出す理由
生後すぐ~2ヶ月頃まで生まれつき備わっている原始反射の影響が大きいです。
無意識に口に入ってきたものを押し出そうとする動きが見られます。
生後3ヶ月~5ヶ月頃ハンドリガード(自分の手を見つめる行動)のように、自分の舌や唇の感覚を楽しむ遊びが始まります。
唾液の量も増え、ブブブと音を立てて泡を出すのもこの時期です。
歯が生え始める生後6ヶ月以降歯茎のむず痒さを紛らわすために舌で歯茎を触ったり、離乳食の味や食感を舌で確かめたりするようになります。

このように、時期によって意味合いが変わることを知っておくと、冷静に見守ることができます。

遊びやコミュニケーションとしての舌出し

ふとした瞬間にペロッと舌を出すしぐさは、赤ちゃん自身がリラックスしており、ご機嫌であるサインである可能性があります。

赤ちゃんは、自分の舌を唇に当てた時の感触や動かした時の感覚を面白いと感じて、遊びとして繰り返すことがあります。

また、1歳に近づくにつれて、パパやママの顔真似をするようになります。

親が舌を出して見せると、赤ちゃんも真似をして舌を出すことがありますが、これはミラーニューロンという神経細胞が働き始めた、高度なコミュニケーションの一つです。

周りの大人が笑って反応してくれるのが嬉しくて、あえて舌を出しておどけて見せているケースも少なくありません。

押し出し反射や味覚の確認

離乳食を始める生後5ヶ月から6ヶ月頃に舌を出す行動には、食事に関連する意味が含まれています。

一つは、押し出し反射(哺乳反射)の残りです。

赤ちゃんには、誤飲を防ぐために固形物を舌で前に押し出す本能があります。

スプーンを近づけると舌で押し返してくる場合は、まだこの反射が残っており、離乳食を開始するには少し早いというサインかもしれません。

もう一つは、味覚による探索です。

赤ちゃんは新しい味や食感に出会ったとき、舌の先や全体を使って慎重に味を確かめようとします。

おもちゃやタオルを舐めるのも、それがどんなものかを舌で学習している真っ最中だからです。

注意が必要なケースと見分け方

赤ちゃんが舌を出していても多くの場合は心配ありませんが、医学的な対処が必要なケースもあります。

舌が出ていることに注目するよりも、それ以外の症状が伴っていないかを観察することが重要です。

ここでは、舌を出している場合に注意すべき症状のチェックポイントについて解説します。

当てはまる点があれば、小児科や専門医に相談することをおすすめします。


常に口をポカンと開けて舌を出している|鼻詰まり・口呼吸・アデノイド肥大

赤ちゃんが常に口をポカンと開けて舌を出している場合、真っ先に疑うべきは鼻のトラブルです。

鼻水鼻づまり(鼻炎)があると鼻で息ができないため、必死に口を開けて呼吸をしようとします。この時、空気の通り道を確保するために、舌が前に出やすくなります。

また、鼻の奥にあるリンパ組織であるアデノイドが肥大している場合も同様です。

見分けるポイントは、寝ている時のイビキや、ミルクを飲むのが苦しそうかどうかです。

ズーズーと音がしたり、授乳中に何度も口を離したりする場合は、耳鼻科を受診して鼻呼吸を楽にしてあげましょう。

先天的に舌が大きい|巨大舌

稀なケースですが、生まれつき舌そのものが大きい巨大舌(きょだいぜつ)の可能性があります。

巨大舌の場合、舌が口の中に収まりきらず、常に唇からはみ出している状態になります。

ベックウィズ・ヴィーデマン症候群などの先天性疾患に伴うこともありますが、成長とともに目立たなくなることもあります。

便秘がち・黄疸が長引く・あまり泣かないなど|ホルモンの病気

舌が大きいことに加えて以下のような症状が見られる場合、ホルモンの病気が隠れている疑いがあります。

  • 便秘がち
  • 黄疸が長引く
  • あまり泣かない
  • 手足が冷たい

甲状腺ホルモンの分泌が少ないために起こる、クレチン症(先天性甲状腺機能低下症)と呼ばれる病気である可能性があります。

これらの病気は新生児スクリーニング検査(ガスリー検査)で発見されるケースがほとんどですが、気になる症状があれば小児科に相談してください。

将来の歯並びに影響する?舌突出癖のリスク

一時的に舌を出しているのであれば問題ありませんが、長期間続いて習慣化してしまうと、歯並びや顎の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

舌を出す癖を、歯科専門用語で舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)と呼びます。

赤ちゃんの骨は非常に柔らかく柔軟性があるため、舌の継続的な圧力によって簡単に変形してしまいます。

たかが癖と放置せず、口の健やかな成長を妨げる要因になり得ることを知っておいてください。

ここでは、舌突出癖が引き起こす具体的なリスクについて、歯科的な視点から解説します。

開咬(オープンバイト)や受け口になる

最も代表的なトラブルが、奥歯はしっかり噛み合っているのに、上下の前歯の間に隙間ができて閉じなくなる開咬(かいこう)と呼ばれる状態です。

開咬(かいこう)の状態になると、前歯で麺類を噛み切ることができなくなります。

舌は筋肉の塊であり、その力は想像以上に強力です。リラックスしている時も常に舌が上下の歯の間にはさまっていると、歯は舌の力に押されて徐々に動いてしまいます。

また、下の前歯を舌で前方に押し出し続けていると、下顎全体が前に出てきてしまい、受け口(反対咬合)になるリスクも高まります。

開咬(かいこう)や受け口は骨格的な問題に発展しやすく、将来的に大掛かりな矯正治療が必要になるケースも少なくありません。

口呼吸が定着してしまう

舌が常に出ているということは、唇が閉じられていない状態を意味します。口が開いていると、鼻ではなく口で呼吸をする口呼吸になりがちです。

本来、唇には歯を外側から押さえる役割がありますが、口が開いたままだと、口の周りの筋肉である口輪筋(こうりんきん)が正しく発達しません。

唇を閉じる力が弱いまま成長すると、無意識のうちに常に口が半開きになるお口ポカンが定着してしまいます。

口呼吸は、冷たく乾燥した空気が直接喉に当たるため、扁桃腺が腫れやすくなったり、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなったりします。

また、口の中が乾燥することで、虫歯や歯肉炎のリスクも跳ね上がります。

サ行やタ行などの発音に悪影響を与える

言葉を話し始める時期になっても舌を出す癖が残っていると、正しい発音の習得を妨げることがあります。

日本語のサ行、タ行、ナ行、ラ行などの音は、舌先を上の歯茎の裏側に当てたり、弾いたりして発音する必要があります。

しかし舌突出癖があると、発音時にも舌が常に歯の間から出ようとするため、正しい位置に舌を持っていくことが難しくなります。

その結果、空気が漏れてフガフガとした話し方になったり、舌足らずな発音になったりします。

自分の言葉が友達や先生にうまく伝わらない経験は、コミュニケーションに対する子どもの自信を喪失させることにも繋がりかねません。

就学前までのケアが非常に重要です。

舌を出す癖をやめさせるべきタイミングと対処法

赤ちゃんが舌を出す癖は成長とともに自然に消えていきますが、いつまでも放置して良いわけではありません。

癖として定着してしまう前に、親が介入すべきラインと家庭でできる優しい改善策を知っておきましょう。

焦って無理やり直そうとするのではなく、日々の生活の中で少しずつ誘導してあげることが大切です。

ここでは、

  • 様子見を終えるべき具体的な時期の目安
  • 今日から実践できるトレーニングのような遊び
  • 食事の与え方のコツ

について解説します。

1歳を過ぎても頻繁に舌を出している場合は要注意

個人差はありますが、お座りやハイハイが終わり、つかまり立ちや歩き始める1歳前後がひとつの目安になります。

この時期になると離乳食も進み、口の周りの筋肉が発達して、一般的には口を閉じている時間が長くなります。

1歳を過ぎても、起きている間中ずっと舌が出ている、あるいはテレビを見たり何かに集中すると必ず舌が出る場合は、単なる癖とは言えないかもしれません。

口呼吸や骨格的な問題に繋がる舌突出癖の兆候である可能性もあります。

自然に治るのを待つだけでなく、一度かかりつけの歯科医院や耳鼻科で相談してみることをおすすめします。

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無理にやめさせるのはNG!遊びやおしゃべりで自然に口を閉じさせよう

舌を出しているのを見つけるたびに「ダメ!引っ込めなさい!」と注意するのは逆効果です。

赤ちゃんや小さな子どもにとって、否定的な言葉はストレスになり、指しゃぶりや舌出しなど精神安定のための癖をかえって強めてしまうことがあります。

大切なのは、楽しみながら口を閉じる時間を増やすことです。

例えば、ラッパのおもちゃを吹いたりシャボン玉をしたりする遊びは、自然と唇を閉じる筋力を鍛えます。

また、あっぷっぷとにらめっこをして口を閉じる動作を真似させたり、たくさん話しかけて赤ちゃんが声を出して笑う時間を増やしたりすることも、お口の機能を高める良いトレーニングになります。

離乳食の食べさせ方を見直そう

毎日の離乳食の与え方が舌を出す癖を作ってしまっているケースが意外と多くあります。

早く食べさせようとして、スプーンを口の奥まで突っ込んでいませんか。

口の奥まで入れすぎると、赤ちゃんは反射的に舌を突き出してスプーンを押し返そうとします。これが習慣化すると、食事以外の時でも舌が出るようになってしまいます。

離乳食の正しい与え方は、下唇の上にスプーンをちょんと乗せ、赤ちゃんが自分から上唇を閉じて食べ物を捉えるのを待つことです。

スプーンを引き抜くときも、上唇になすりつけず、水平に真っ直ぐ引き抜くように意識してください。

これだけで、唇を閉じる力が自然と育まれます。

専門家相談する目安

過程でできるケアを続けても、舌を出す癖がなかなか治らないと不安になるものです。

どのタイミングで専門家に相談すべきか知っておくだけでも心の負担は軽くなります。

小児歯科は、虫歯を治すためだけの場所ではありません。口の機能や癖の改善をサポートしてくれる、子育てのパートナーでもあります。

ここでは、歯科医院を受診すべき具体的な年齢の目安と、専門的なトレーニングであるMFT、早期相談のメリットについて解説します。

3歳児健診でも治らない場合

一般的に、3歳になっても日常的に舌が出ている、あるいは発音に問題がある場合は、専門的な介入を検討するタイミングと言えます。

3歳になると言葉でのコミュニケーションが可能になり、歯科医院でのトレーニングの指示も理解できるようになるためです。

多くの小児歯科では、MFT(口腔筋機能療法)というプログラムを取り入れています。

MFT(口腔筋機能療法)は、舌の正しい位置(スポット)を覚えさせ、唇を閉じる力を鍛えるための口の体操です。

ガムを使ったり専用の器具を使ったりして遊び感覚でトレーニングを行うことで、無理なく改善へと導きます。

または、舌の癖を取り除くための矯正器具「マイオブレース」「プレオルソ」などの利用を検討しましょう。

早期相談で将来の矯正治療の負担を減らそう

舌の癖などの根本原因を幼少期のうちに取り除いておけば、将来的に本格的な矯正治療が不要になったり、必要になったとしても簡単かつ短期間に済んだりする可能性が高まります。

骨が柔らかく、成長の途中にある子どもの時期だからこそ、わずかな力で正しい方向へ導くことができるのです。

歯並びが悪くなってから治す矯正治療には、長い期間と高額な費用がかかります。

今歯科医院へ行く手間は、将来矯正治療で苦労しないための、一番のプレゼントになると考えてください。


発達障害自閉症スペクトラムや発達障害の可能性は低い

インターネットなどで調べると、舌を出す行動が自閉症などの発達障害の特徴であるという情報が出てきて、不安になる人もいるかもしれません。

しかし、舌を出すという一点だけで発達障害と診断されることは絶対にありません。

以下のような、社会性やコミュニケーションの面での他の特徴がない限りは、過度に心配する必要はないでしょう。

  • 視線が合わない
  • あやしても笑わない
  • 名前を呼んでも反応しない

確かに、感覚遊びに没頭しやすい特性や、筋肉の使い方の不器用さから、舌を出す行動が見られることはあります。

1歳半健診や3歳児健診で専門家が総合的に判断しますので、焦らず成長を見守りましょう。

まとめ|赤ちゃんの舌出しは成長の過程

赤ちゃんが舌を出すしぐさは、その時期にしか見られない愛らしいすがたです。

多くの場合は、世界への好奇心や、お口の機能が発達している証拠であり、温かく見守ってあげれば自然と卒業していくものです。

ただ、中には鼻詰まりなどの体調不良や、将来の歯並びに関わる癖が隠れていることもあります。

違和感を感じたら、一人で悩まずに専門家を頼りながら、子どもの成長に合わせた適切なケアをしてあげましょう。

子どもの舌の癖が気になるなら「歯科予約まもる」で小児歯科を探そう

いざ相談しようと思っても、小さな子どもを連れて行くのに適した歯科医院がどこにあるのか分からない人も多いでしょう。

特に、MFTなどの専門的な指導を行っている医院は限られています。

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