ふと鏡を見たとき、歯茎に今までなかった「白いできもの」を見つけると不安ですよね。
結論から言うと、歯茎にできる白いできものの多くは口内炎や歯の根の膿などの可能性が高いです。がんであることはまれと言えます。
しかし、口腔がん(歯肉がん)の初期症状である可能性もゼロではありません。大切なのは、自己判断で放置せず、異変に正しく対処することです。
- 白いできものの正体として考えられる病気
- 危険なできもののセルフチェック法
- すぐに病院へ行くべき症状
白いできものに対する不安を解消するために、歯科専門家の視点から網羅的に解説します。
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一般的な白いできものと癌の初期症状との見分け方は?
歯茎に正体不明の白いできものを見つけたとき、「もしかしたら癌かもしれない」と最悪の事態がよぎってしまうこともあるかもしれません。
しかし、歯茎にできる白いできものの多くは癌ではない良性の病変です。
口腔がんの初期症状である場合、見分けやすい特徴があります。ここでは、一般的な白いできものと癌の初期症状との見分け方について解説します。
歯茎にできる白いできものの正体
歯茎にできる白いできものの多くは、口内炎や炎症などの良性の原因によるものです。
癌以外にも、以下の疾患によって歯茎に白いできものができる場合があります。
- 口内炎(アフタ性口内炎)
- フィステル
- 骨隆起(こつりゅうき)
- 白板症
実際に癌である割合は少数ですが、完全に否定することはできません。さまざまな可能性も念頭に置き、自分のできものの状態を冷静にチェックしていきましょう。
口腔がん(歯肉がん)を疑うべき危険なサイン【セルフチェックリスト】
歯茎の白いできものが以下のチェックリストの特徴に該当しないか、鏡を見ながら慎重にチェックしてみてください。
| チェック項目 | 口腔がん(歯肉がん)が疑われるサイン | 良性の口内炎 |
| 期間 | 2週間以上経っても治らない、または大きくなる | 普通の口内炎は1〜2週間で自然に治る傾向 |
| 形・境界 | 形が歪(いびつ)で、周囲の粘膜との境目が曖昧 | 口内炎は円形など、境界がはっきりしている |
| 硬さ | 表面や周りに「しこり」のような硬い部分がある | 口内炎の周りは粘膜と同じくらい柔らかい |
| 表面 | 表面が赤くただれていたり、逆に盛り上がっていたりする | 口内炎は白く、少しへこんでいる(潰瘍) |
| 出血 | 少し触れただけでも簡単に出血する | 口内炎は歯ブラシが強く当たるなどしないと出血しにくい |
もし一つでも当てはまる項目があれば、自己判断で様子を見ず、できるだけ早く専門医に相談してください。
痛みがないからといって安心はできない
「痛みがないから大丈夫」という認識は誤りです。
一般的な口内炎は多くの場合痛みを伴うため、「痛くない=問題ない」と思ってしまうかもしれません。
しかし、初期の口腔がんは痛みを伴わないケースが非常に多いのです。痛みや出血などの症状は、がんがある程度進行してから現れることが少なくありません。
痛みがないからといって、癌のような重大な病変でないとは言い切れません。楽観視して放置することが、発見を遅らせる要因になります。
違和感のあるできものが2週間以上治らない場合、症状の有無にかかわらず専門家による診断が必要です。
歯茎の白いできものができる5つの病気や症状と特徴
歯茎にできる白いできものの正体は様々です。
病気や疾患には特有の見た目や症状があるため、自分のできものの特徴(痛み、形、硬さなど)をよく観察することで、そのできものが何かをある程度推測することができます。
ここでは、考えられる5つの代表的な原因とそれぞれの特徴について紹介します。
口内炎(アフタ性口内炎):痛みを伴う円形の潰瘍
歯茎にできる白いできもので最も一般的なのがアフタ性口内炎です。
アフタ性口内炎の特徴は、表面が白〜黄色の膜で覆われた円形または楕円形のくぼみ(潰瘍)で、その周りが赤く腫れている点です。
また、食事や歯磨きの際に食べ物や歯ブラシが触れるとしみるような強い痛みを感じます。
アフタ性口内炎は、ストレスや疲れ、栄養不足などが引き金となって発症します。通常は1〜2週間で自然に治癒します。
フィステル:歯の根の先に膿が溜まるおでき
歯茎にニキビのような白いおできができた場合、フィステル(瘻孔:ろうこう)かもしれません。
フィステルの原因は、虫歯が進行して歯の神経が死んでしまったり、過去に神経の治療をした歯の根の先で細菌が繁殖したりして、膿(うみ)の袋ができてしうことにあります。
溜まった膿を体外に排出するために、歯茎の表面にトンネルのような管ができ、出口として現れたものがフィステルです。
フィステルの場合痛みはあまり感じない傾向があり、指で押すと膿が出てくることがあります。
根本的な原因である歯の根の治療をしない限り、フィステルは治ったり再発したりを繰り返します。
骨隆起(こつりゅうき):硬い骨の膨らみ
歯茎の一部が硬く盛り上がっている場合、それは骨隆起(こつりゅうき)である可能性があります。
骨隆起は病気ではなく、顎の骨が部分的に過剰に発育してできたこぶのようなものです。特に下の歯の内側の歯茎によく見られます。
表面の粘膜は正常で、指で触ってみると骨のようにカチカチに硬いのが特徴です。
通常、痛みなどの症状はなく、体に害を及ぼすものでもないため、治療の必要はありません。ただし、入れ歯を作る際に邪魔になる場合などには、切除することがあります。
白板症(はくばんしょう):癌化する可能性のある前がん病変
歯茎や頬の粘膜に、こすっても剥がれない白い板状、あるいは斑点状の病変ができた場合、白板症(はくばんしょう)が疑われます。
白板症は粘膜が厚く硬くなった状態(角化)であり、喫煙や合わない入れ歯による慢性的な刺激などが原因で起こります。
痛みなどの自覚症状はほとんどありません。
白板症のすべてが癌になるわけではありませんが、数%が後に癌化する可能性がある「前がん病変」に分類されています。
見た目だけで癌と鑑別するのは難しいため、白板症と思われる症状に気づいた場合は、必ず医師の診断を受けてください。
口腔がん(歯肉がん):最も注意すべき悪性の病気
歯茎にできる癌は歯肉がんと呼ばれ、口腔がんの一つです。
初期の歯肉がんは、口内炎や歯周病による歯茎の腫れと見た目が似ているため、発見が遅れがちです。
しかし、徐々にがんが進行すると以下のような特徴が現れます。
- 歪な形をした潰瘍やしこり
- 周囲の粘膜との境目が不明瞭
- 歯ブラシなどが少し触れただけで簡単に出血する
- 歯がグラグラしてくる
- 入れ歯が合わなくなる
歯肉がんの初期段階では痛みを伴わないことが多いため、セルフチェックで完璧に見分けるのは非常に困難です。
癌が疑われるサインが少しでもあれば、絶対に放置せず、速やかに歯科・口腔外科を受診してください。
病院を受診すべきタイミングと診療科の選び方
歯茎に白いできものができると、「癌だったらどうしよう」という不安と、「病院に行くのは大袈裟かもしれない」というためらいの間で、どうすればよいか迷ってしまいます。
しかし、自己判断で放置し続けるのは危険。万が一悪性の病気だった場合、早期発見・早期治療がその後の経過を大きく左右するためです。
ここでは、病院を受診すべきタイミングと診療科の選び方について解説します。
2週間以上治らない・大きくなる場合は迷わず病院へ
2週間経っても白いできものが治癒しなければ病院に行くべきです。
一般的な口内炎であれば、通常1〜2週間で治癒に向かいます。2週間以上経っても全く治る気配がない、あるいは少しずつ大きくなっている、形が変わってきた場合、がんなどの病気が進行している可能性があります。
「そのうち治るだろう」という希望的観測で様子を見るのはやめて、迷わず専門家による診察を受けてください。
まずは「歯科」または「口腔外科」へ
「病院へ行こう」と決心したものの、何科を受診すればよいか迷うかもしれせん。歯茎のできものなどの口腔内のトラブルには、歯科または口腔外科を頼りましょう。
まずはかかりつけの歯科医院に相談するのがもっともスムーズでしょう。一般的な歯科医院でも、口内炎やフィステルなどの診断は可能です。
歯科医師が「より精密な検査が必要だ」と判断した場合には、大学病院や総合病院の口腔外科など、適切な専門医療機関を紹介してくれます。
- 歯科:
お口のトラブル全般の最初の相談窓口。 - 口腔外科:
口の中や顎の外科的治療を専門とする科。より診断が難しいケースや、手術が必要な場合に対応します。
最初から大病院を探す必要はありません。まずは身近な歯医者さんに相談しましょう。
歯科医院での検査:視診・触診・レントゲンなど
「病院で何をされるんだろう」という不安を和らげるため、歯科医院での基本的な検査の流れを知っておきましょう。いきなり痛い検査をされることはありませんので安心してください。
- 問診
まず、できものにいつ気づいたか、痛みや出血の有無、生活習慣(喫煙・飲酒など)について詳しく聞かれます。 - 視診・触診
歯科医師が直接、できものの状態(大きさ、形、色、硬さなど)を目で見て(視診)、指で優しく触れて(触診)、しこりの有無や周りへの広がりを確認します。首のリンパ節が腫れていないかもチェックします。 - レントゲン撮影
できものの下に隠れた歯の根や、顎の骨の状態を確認するためにレントゲンを撮ることがあります。
以上のような流れで検査を行い、フィステルや骨隆起が原因かどうかを判断する材料を得ます。
基本的な検査の結果、悪性の病気が少しでも疑われる場合には、より詳しく調べるために、専門の医療機関で細胞診(細胞をこすって調べる検査)や組織検査(組織の一部を切り取って調べる検査)を行うことを勧められます。
歯茎にできる白いできものに関するよくある質問(Q&A)
歯茎にできた白いできものについて、よくある質問に専門家としてお答えします。
Q1. 白いできものは自分で潰したり剥がしたりしてもいい?
A.いいえ、絶対に自分で潰したり、剥がしたりしないでください。
気になるからといって、自分でできものに対処するのはとても危険です。
衛生管理が徹底されていない指や器具でできものに触れることで細菌が入り込み、二次的な感染を起こして炎症がひどくなる可能性があります。
また、できもの本来の状態が変化してしまい、歯科医師が正確な診断を下すのが難しくなってしまいます。
できものの原因がはっきりするまでは「触らない、いじらない」を徹底し、ありのままの状態で専門家に見せることが大切です。
Q2. 歯周病と関係はある?
A. はい、直接的または間接的に関係している可能性があります。
歯周病が歯茎の白いできものの原因となる、あるいは背景にあるケースは少なくありません。
歯周病が重度に進行すると、歯の周りの組織で膿が溜まり「歯肉膿瘍(しにくのうよう)」という膿の塊を形成することがあります。これが、白や黄色っぽいできものとして見えることがあります。
また、歯の根の先に膿が溜まるフィステルも、重度の歯周病が原因で生じることがあります。
このような口腔環境の悪化は、口腔がんのリスクを高める要因の一つと考えられています。
歯周病が直接的にがんを引き起こすとは証明されていませんが、慢性的な炎症で口腔環境が悪化することで、間接的にリスク因子と関わっている可能性は指摘されています。
歯茎にできものがあり、かつ歯周病の自覚症状(歯茎の腫れや出血など)もある場合は、早めに歯科医院を受診することが重要です。
Q3. 口腔がんの予防法はある?
A. はい、100%ではありませんが、リスクを大幅に減らすための効果的な予防法はあります。
口腔がんの予防は、「リスク要因を避けること」と「早期発見を心がけること」の二本柱で成り立ちます。
今日からでも始められる予防法は以下の通りです。
- 最大の危険因子を避ける
口腔がんの発生に最も強く関与しているのが「喫煙」と「喫煙と飲酒のセット」です。禁煙し、お酒は節度ある量に控えることが、最も効果的な予防策です。 - 口の中を清潔に保つ
毎日の丁寧な歯磨きで、口腔内の衛生状態を良好に保ちましょう。 - 慢性的な刺激をなくす
合わない入れ歯や欠けて尖った歯など、常に同じ場所を刺激し続けるものがあれば、歯科医院で調整・治療してもらいましょう。 - バランスの取れた食事
ビタミンA、C、Eなどを豊富に含む、緑黄色野菜や果物を積極的に摂ることが大切です。 - 定期的な歯科検診
最も重要な「早期発見」のための予防策です。自覚症状のない初期のがんや前がん病変を、専門家の目で見つけてもらうことができます。
まとめ|歯茎の白いできものは自己判断せず専門家へ。早期発見が重要
本記事では、歯茎にできる白いできものの正体や、危険なサインの見分け方について詳しく解説しました。
「もしかしたら癌かも」という不安を解消するために最も大切なことは、できるだけ早く専門家である歯科医師に相談することです。
万が一悪性の病気だった場合、早期発見・早期治療が何よりも重要だからです。
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