親知らず抜歯後の食事におすすめは?当日〜1週間食べていいもの・ダメなもの

親知らず 抜歯後 食事 おすすめ

親知らずの抜歯、お疲れ様でした。大きな不安を乗り越えたのも束の間、「今日の夕食、何を食べればいいんだろう…」「しみて痛かったらどうしよう?」

と、これから始まる食事の時間に新たな不安を感じていませんか?

抜歯後の食事や休息は、ただお腹を満たすだけでなく、傷口の回復を早め、痛みや腫れを最小限に抑えるための、いわば「治療」の一部です。

何を選び、どう食べるかが、その後の経過を大きく左右します。

この記事では、歯科専門家の視点から、抜歯当日から普段の食事に戻るまでの具体的なおすすめメニューを、コンビニで買えるものも含めて徹底解説します。

この記事でわかること
  • 抜歯当日から普段の食事に戻るまでの具体的なおすすめメニュー
  • 絶対に避けるべきNGな食べ物
  • 痛みを和らげる食べ方のコツ

親知らずを抜歯後の過ごし方について詳しく知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。


親知らず抜歯後の食事、基本の3つのルール

親知らずを抜いた後の食事は、ただ空腹を満たすためだけのものではありません。 

結論として、

  1. 傷口の安静
  2. 血行の抑制
  3. 回復の促進

という3つの基本ルールを守ることが、その後の経過を大きく左右します。 

なぜなら、抜歯後の食事は、痛みや腫れを悪化させる原因にもなれば、逆にスムーズな回復を力強くサポートする「治療」の一部にもなるからです。

 何を食べ、どう過ごすかが、つらい期間を少しでも短くするための鍵となります。

 ここでは、後悔しないために絶対に守りたい3つの基本ルールを詳しく解説します。

▶関連記事:親知らずは抜くべき?抜かなきゃよかったと後悔しないための判断基準

①傷口を刺激しない(硬い・熱い・辛いものはNG)

抜歯後、最も重要なルールは、傷口に物理的・化学的な刺激を与えないことです。 抜歯した後の穴は、デリケートな手術痕と同じです。 

ここに強い刺激が加わると、痛みや出血の原因になるだけでなく、治癒を遅らせてしまいます。 

特に、抜歯した穴にできる「血餅(けっぺい)」というゼリー状のかさぶたは、骨が再生するための非常に重要な役割を担っています。

 これが剥がれてしまうと、骨が露出し激痛を伴う「ドライソケット」を引き起こすリスクがあります。

抜歯後避けるべき刺激
  • 物理的な刺激:硬いおせんべいやナッツ、お肉など、よく噛む必要のあるもの
  • 化学的な刺激:唐辛子や香辛料の効いた辛いもの、レモンやお酢など酸味の強いもの
  • 温度の刺激:熱々のスープやラーメン、熱い飲み物
  • これらの刺激は避け、人肌程度に冷ました、柔らかくて飲み込みやすい食事を心がけましょう。

    ②血行が良くなるものを避ける(アルコール・長風呂も注意)

    意外に見落としがちですが、血行を促進する行動は、抜歯当日から数日間は厳禁です。

     なぜなら、血の巡りが良くなると、傷口の血管が開いて再出血しやすくなったり、ズキズキとした痛みや腫れが増したりする原因になるからです。 

    痛みや腫れのピークは、抜歯後2〜3日と言われています。

     この期間は特に、以下の行動に注意してください。

    抜歯後避けるべき行動
  • 飲酒:アルコールは血管を拡張させる代表的なものです。
  • 長時間の入浴:湯船に長く浸かると体温が上がり、血行が良くなります。当日はシャワー程度にしましょう。
  • 激しい運動やサウナ:同様に、血流を増加させるため避けるべきです。
  • 「お祝いに一杯」という気持ちはぐっとこらえて、傷口が落ち着くまで安静に過ごすことが、結果的に早い回復につながります。

    ③栄養バランスを意識する(回復を助けるビタミンを)

    痛みや食べにくさから、食事を一時的にゼリー飲料だけでもいいですが、スムーズな回復のためには、栄養バランスを意識することが非常に大切です。

     体が傷を治すためには、その材料となる栄養素が不可欠だからです。

     特に、以下の栄養素は、抜歯後の回復を助ける上で重要な役割を果たします。

    ただし、抜歯後に特定の栄養素が直接的に治癒を早めるという明確な臨床研究は限られています。

    抜歯後摂るべき栄養素
  • タンパク質:血液や筋肉など、体を作る基本の栄養素。(豆腐、卵、牛乳など)
  • ビタミンA:皮膚や粘膜の健康を保ち、細菌への抵抗力を高める。(かぼちゃ、にんじん、ほうれん草など)
  • ビタミンC:傷の治癒に必要なコラーゲンの生成を助ける。(じゃがいも、ブロッコリーなど)
  • ビタミンB群:エネルギー代謝を助け、粘膜の回復をサポートする。(豚肉、レバー、納豆など)
  • もちろん、これらを普通の食事で摂るのは難しいため、ポタージュにしたり、ペースト状にしたりと、調理法を工夫して、食べやすい形で積極的に摂取するように心がけましょう。

    コンビニでも買える!抜歯後におすすめの市販品リスト

    親知らずを抜いた後は、痛みやだるさで料理をする気力さえない…という方も多いでしょう。 

    結論として、そんな時は無理せず、コンビニエンスストアで手に入る食事を上手に活用しましょう。 

    なぜなら、現在のコンビニには、抜歯後でも安心して食べられる、柔らかくて栄養価の高い商品がたくさん揃っているからです。

     わざわざ買い物に行ったり、調理したりする手間を省くことで、体を休める時間を確保し、回復に専念することができます。

     ここでは、いざという時に頼りになる、コンビニで手軽に購入できるおすすめの市販品をご紹介します。

    ゼリー飲料(ウィダーインゼリーなど)

    抜歯後の食事として、最も手軽で安心なのがゼリー飲料です。

     特に、食欲が全くない抜歯当日から翌日にかけての栄養補給に最適です。 噛む必要がなく、スプーンを使えば傷口に触れることなく摂取できます。 

    また、ビタミンやミネラル、エネルギーを手軽に補給できるため、体力が落ちている時の回復をサポートしてくれます。

     「inゼリー」や「カロリーメイトゼリー」など、様々な種類があるので、その時の気分に合わせて選んでみましょう。

    スープ・ポタージュ類

    甘いものばかりで飽きてしまった時に嬉しいのが、温かい(人肌程度の)スープやポタージュ類です。 

    じゃがいもやかぼちゃ、コーンなどのポタージュは、飲み込みやすく、野菜の栄養もしっかり摂ることができます。

     カップスープの素をお湯で溶かすタイプや、チルドパックで売られているものなど、種類も豊富です。 

    ただし、前述の通り、熱いスープは血行を促進して痛みや出血の原因になるため、必ず飲む前に人肌程度まで冷めていることを確認してからにしましょう。

     また、大きな具材が入っているものは避け、なめらかなポタージュタイプを選ぶのがポイントです。

    茶碗蒸し・豆腐

    「少し固形物が食べたいけれど、まだ噛むのは怖い」という回復期におすすめなのが、茶碗蒸しや豆腐です。 

    これらはタンパク質が豊富で、傷の治りを助ける体作りに欠かせません。 

    コンビニで売られているパックの茶碗蒸しは、具材も柔らかく調理されており、温めるだけで手軽に食べられます。

     豆腐は、冷奴や湯豆腐にすれば、ほとんど噛む力を使わずに食べることができます。 

    ただし、醤油や薬味は傷口にしみることがあるため、かけすぎには注意しましょう。

    プリン・ヨーグルト・アイスクリーム

    痛みや腫れがある時に、デザートとしてだけでなく、心を落ち着かせるためにもおすすめなのが、冷たくて喉越しの良いスイーツです。

    冷たいものは、口の中から優しく患部を冷やす効果も期待でき、炎症によるズキズキとした痛みを一時的に和らげてくれます。 

    ただし、アイスクリームそのものが治療効果を持つわけではなく、あくまで固形物が食べられない場合の補助的な方法です

    プリンや、種の入っていない滑らかなタイプのヨーグルト、バニラアイスクリームなどは、安心して食べられるでしょう。

    ただし、ナッツや硬いチョコレートが入っているもの、酸味の強いフルーツソースがかかっているものは、傷口を刺激する可能性があるので避けた方が無難です。

    これはNG!抜歯後に避けるべき食べ物・飲み物

    親知らずの抜歯後は、「何を食べたら良いか」と同じくらい、「何を食べてはいけないか」を知っておくことが重要です。

    結論として、傷口を刺激するもの、治癒を妨げるものを避けることが、トラブルなくスムーズに回復するための鍵となります。 

    なぜなら、良かれと思って口にしたものが、痛みや腫れを悪化させたり、最悪の場合「ドライソケット」のような深刻な術後トラブルを引き起こしたりする可能性があるからです。

     「せっかく治りかけていたのに…」と後悔しないために、抜歯後1週間程度は特に注意したい、NGな食べ物・飲み物のリストを確認しておきましょう。

    傷口を刺激するもの(香辛料・硬いもの・柑橘類など)

    抜歯後のデリケートな傷口に、直接的な刺激を与える食べ物は絶対に避けなければなりません。 

    これらは痛みや出血を再発させるだけでなく、傷の治りを遅らせる大きな原因となるからです。

    避けるべき食べ物
  • 香辛料:唐辛子、カレー粉、こしょう、わさびなど、ピリッとした刺激のあるもの。
  • 硬いもの:せんべい、ナッツ、フランスパン、揚げ物の衣など、物理的に傷口を傷つける可能性があるもの。
  • 酸味の強いもの:レモンなどの柑橘類、トマト、お酢など、傷口にしみて強い痛みを引き起こすもの。
  • 塩分の濃いもの:漬物、しょっぱいスープなども、傷口にしみる原因になります。
  • 治癒が進むまでは、味付けは薄味を基本とし、優しく食べられるものを選びましょう。

    血餅が剥がれるリスクがあるもの(麺類・ゴマ・ストローを使う飲み物)

    抜歯後の穴を守る「かさぶた」である血餅(けっぺい)を剥がしてしまうリスクのある食べ物や食べ方にも、細心の注意が必要です。

     血餅が剥がれると、骨が露出し激痛を伴う「ドライソケット」になる危険性が高まります。

    避けるべき食べ物
  • 麺類(ラーメン、そば、パスタなど):すする動作が口の中の圧力を高め、血餅を吸引して剥がしてしまうことがあります。
  • 粒の小さいもの(ゴマ、いちごの種、ふりかけなど):傷口の穴に入り込みやすく、感染の原因になったり、血餅を剥がしたりします。
  • ストローを使う飲み物:麺類と同様に、すする力(陰圧)が血餅を剥がす大きな原因となります。
  • 飲み物はコップから直接、ゆっくり飲むようにしましょう。 これらの食べ物や行為は、傷口が安定する抜歯後1週間程度は特に避けるようにしてください。

    血行を促進するもの(アルコール類・熱い飲み物)

    抜歯後、特に痛みや腫れのピークである2〜3日の間は、血行を良くする飲食物は控えるべきです。 

    体の血の巡りが良くなると、傷口の血管が拡張し、痛みや腫れが増強されたり、止まっていた血が再び出やすくなったりするからです。

    避けるべき食べ物
  • アルコール飲料:ビール、日本酒、ワインなど、すべてのアルコールが該当します。
  • 熱い飲み物:熱いコーヒーや紅茶、熱々のスープなど。
  • 物理的な温度刺激に加えて、血行も促進してしまいます。 抜歯後の「お疲れ様の一杯」は、ぐっと我慢です。 

    飲み物は、常温か少し冷たい程度のものを選び、安静に過ごすことがスムーズな回復につながります。

    抜歯後の食事に関するよくある質問(Q&A)

    親知らずの抜歯後は、食事に関して様々な疑問や不安が浮かんでくるものです。 

    「いつまでこの食事を続ければいいの?」「痛くて食べられない時はどうしよう?」といった、多くの方が抱える共通の悩みについて、Q&A形式でお答えします。

     正しい知識を持つことが、不安を和らげ、安心して回復期間を過ごすための助けになります。

    Q1. いつから普通の食事に戻せますか?

    A1. 個人差が大きいため一概には言えませんが、一般的には抜歯後1-2週間程度が普段の食事に戻す一つの目安です。

    なぜなら、傷口の治癒スピードは、抜歯の難易度(まっすぐ生えていたか、歯茎に埋まっていていたかなど)や、個人の回復力によって大きく異なるからです。

     簡単な抜歯であれば3〜4日程度で柔らかめの普通食に戻れる方もいれば、難しい抜歯(難抜歯)だった場合は2週間近くかかる方もいます。 

    大切なのは、周りと比べず、自身の「痛み」や「口の開きやすさ」を基準にすることです。 

    痛みなく食べられるものから、少しずつ種類と硬さをステップアップさせていきましょう。 焦らず、ゆっくりと慣らしていくことが、スムーズな回復への一番の近道です。

    Q2. 痛くて食事がとれない時はどうすればいい?

    A2. 無理に固形物を食べる必要はありません。まずは栄養価の高い飲み物やゼリー飲料で、最低限の水分とエネルギーを補給しましょう。

    「食べないと治らない」と焦る気持ちは分かりますが、痛みを我慢して食事をすると、かえってストレスになったり、傷口を傷つけたりする可能性があります。

     食事がとれないと体力が落ち、免疫力が低下して傷の治りが遅くなってしまうため、栄養補助食品を上手に活用するのがおすすめです。 

    コンビニでも手に入るゼリー飲料や、ドラッグストアの栄養ドリンク、プロテインなどを活用しましょう。 

    また、食事の30分ほど前に、処方された痛み止めを服用すると、痛みが和らぎ、少し食事がとりやすくなることがあります。

     それでも全く食事がとれないほどの痛みが続く場合は、我慢せずに必ず歯科医院に連絡してください。

    Q3. 食べかすが傷口の穴に入ったらどうすればいい?

    A3. 絶対に自分で取ろうとせず、優しくうがいをする程度に留めてください。

    抜歯後の穴に食べかすが詰まると気になりますが、ここで爪楊枝や指、歯ブラシなどで無理やりかき出そうとするのは、最もやってはいけないNG行動です。

     なぜなら、傷口を保護している「かさぶた」の役割をする血餅(けっぺい)を剥がしてしまい、骨が露出し激痛を伴う「ドライソケット」を引き起こす危険性が非常に高いからです。 

    食後は、ぬるま湯で「ぶくぶく」と2-3回程度優しく口をゆすぐ程度にしましょう。 

    (強く「ガラガラ」うがいをするのは禁物です) 小さな食べかすは、傷口が治っていく過程で、新しい組織(肉芽組織)が盛り上がってくるのと一緒に、自然に排出されることがほとんどです。

     通常、1週間後の抜糸や消毒の際に、歯科医師が洗浄してくれるので、それまでは気にしすぎないようにしましょう。 どうしても大きなものが詰まって取れない場合は、歯科医院に問い合わせてください。

    まとめ:抜歯後の食事は回復への第一歩。焦らず、栄養を摂ろう

    この記事では、親知らずの抜歯後の食事について、時期ごとのおすすめメニューから注意点までを詳しく解説しました。

     結論として、抜歯後の食事は、単なる空腹を満たす行為ではなく、傷口の順調な回復を促すための「治療の一環」です。

     なぜなら、何をどう食べるかが、痛みや腫れの程度、そしてドライソケットなどの術後トラブルのリスクを直接左右するからです。 

    つらい時期だからこそ、焦らず、あなたの体をいたわる食事を心がけることが、健やかな回復への一番の近道となります。

    抜歯後の食事で覚えておくべき重要ポイント

    あなたが安心して回復期間を過ごし、「食べてよかった」と思える食事を選ぶために、この記事で最もお伝えしたかった重要なポイントを最後にまとめました。

    この記事のポイント
    • 食事は必ず麻酔が切れてから。感覚が戻る前に食べると、頬や唇を火傷したり、誤って噛んだりする危険があります。
    • 「柔らかく、刺激がなく、人肌程度の温度」が基本。傷口を守り、痛みを悪化させないための大原則です。
    • 痛みが強い場合は、用法・容量を守り鎮痛剤を服用しましょう。
    • 血餅(けっぺい)を守ることが最優先。激しいブクブクうがいや、ストローですする行為は、治癒を妨げるNG行動です。
    • 栄養バランスを意識する。特に傷の治りを助けるビタミン類を、ゼリー飲料やスープなどで賢く摂取しましょう。また、十分な休息をとりましょう。
    • コンビニも強い味方。無理に自炊せず、市販品を上手に活用して、体を休める時間を優先しましょう。

    不安な時は自己判断せず歯科医師に相談を。「歯科まもる予約」でかかりつけ医を見つけよう

    食事のことで少しでも不安や疑問を感じたら、自己判断で解決しようとせず、必ず抜歯をしてもらった歯科医師に相談してください。

     「こんなことで電話していいのかな?」とためらう必要はありません。 あなたの回復が順調に進むことこそ、歯科医師にとっての願いです。 

    また、これを機に、お口の健康をいつでも気軽に相談できる、信頼できるかかりつけ医を見つけておくことは、将来の安心につながります。

    そんな、あなたに寄り添う歯科医院探しをサポートするのが、予防歯科サービス歯科まもる予約です。 つらい抜歯後の期間を乗り越え、健康な口腔環境を維持していくために、ぜひ活用してください。

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